「ドローはフェードより飛ぶ」
ゴルフをしていると、一度は聞いたことがある話ではないでしょうか。
私がコーチとして指導を始めた頃も、多くの生徒がそう考えていました。ただ、その理由を聞くと答えはさまざまです。
私自身、ドローを打ったときは非常に低く強い弾道になり、条件が合えばよく飛んでいました。そのため、ドローの方が飛ぶという考えにも一定の納得感がありました。
Trackmanが登場する前から、多くのゴルファーは「ドローの方がランが出る」と感じていました。実際、当時のフェアウェイは今よりも硬く速く、右から左へ曲がるボールの方が転がりやすかったからです。
また、
フェードは高く上がるので飛ばない
ドローにはいわゆる“オーバースピン”がかかる
フェードはテニスのドロップショットのように減速するスピンになる
といった考え方も広く信じられていました。
こうしたイメージが積み重なり、「ドローの方が飛ぶ」という定説が生まれたのです。
ところが、Trackmanで実際のデータを確認してみると、話はそれほど単純ではありません。ゴルファーによっては、フェードの方がキャリーで飛んでいるケースもあるのです。
この記事では、ドローとフェードの飛距離を左右する要因を解説します。
※計測にはTaylorMade R15(430cc、9.5°、Lower設定)を使用
フェイストゥパスとボールの曲がり


まず注目したいのが、フェイストゥパスとボールの曲がりの関係です。
今回比較したドローとフェードでは、クラブスピードはほぼ同じでしたが、フェードの方がキャリーで上回る結果となりました。
ボールの曲がりを生み出しているのは、フェイスアングルとクラブパスの関係です。
センターヒットを前提とすると、フェイスアングルとクラブパスの差が大きくなるほど、飛距離効率が落ちる可能性が高くなります。
一般的には、大きく左から右へ曲がるスライスはキャリーを失いやすいと考えられています。しかし、右から左へ曲がるショットでも、弾道が低すぎると十分なキャリーを得られないことがあります。
特にアタックアングルやダイナミックロフトが適正範囲から外れると、ボールは低く打ち出され、飛んでいるように見えてもキャリーが伸びません。
フェイストゥパスは、単に曲がり幅を決めるだけではありません。
低く強すぎる弾道や、高く吹け上がる弾道といった飛距離ロスにもつながります。
キャリーを最大化するの重要なのはドローかフェードかではなく、フェイストゥパスを適切な範囲に保ち、効率よくインパクトすることです。
フェイストゥパスはスピン量にも影響する


フェイストゥパスの差が大きくなると、スピン量にも影響が出てきます。
その違いがよく分かるのが、フックとスライスの比較です。
フック:スピン量 1,992rpm
スライス:スピン量 5,218rpm
フックはスピン量が少なく、低く強い弾道になります。
一方でスライスはスピン量が多くなり、高く上がる傾向があります。
着地角にも大きな違いが現れます。
フック:19.4°
スライス:45.3°
フックは着地後に転がりやすく、スライスは止まりやすいということです。
そのため、コースコンディションによって結果は変わります。
地面が柔らかい日は、極端なフックよりもスライスの方が結果的に飛距離を保てる場合があります。
反対に、地面が硬く速い日は、フックの転がりが大きな武器になることもあります。
もちろん、ここで紹介しているような極端なフックやスライスが理想というわけではありません。
ただ、スピン量や最高到達点、キャリー、着地角がどのように変化するのかを理解するには、とても分かりやすい例と言えるでしょう。
ダイナミックロフトも飛距離を左右する


ドローとフェードを比較する際、見落とされがちなのがダイナミックロフトです。
ダイナミックロフトは打出し条件に大きく影響し、それがスピン量や弾道の高さ、そして飛距離につながります。
今回のデータでは、フェードとドローで次のような違いが見られました。
フェード
ダイナミックロフト:15°
スピン量:3,768rpm
キャリー:240.8ヤード
最高到達点:105.6フィート
着地角:42.9°
ドロー
ダイナミックロフト:10.5°
スピン量:2,643rpm
キャリー:245.7ヤード
最高到達点:63.6フィート
着地角:28.8°
ダイナミックロフトが大きいフェードは、スピン量が増え、高く上がりやすくなります。
一方、ドローは低スピンで強い弾道となり、キャリーでわずかに上回りました。
さらに着地角が浅いため、フェードよりも約20ヤード多くランが出る結果となっています。
ただし、この結果だけを見て「やはりドローの方が飛ぶ」と結論づけるべきではありません。
重要なのは、飛距離を決めているのが球筋そのものではないということです。
ダイナミックロフト、スピン量、最高到達点、着地角といった要素が組み合わさった結果として、ドローやフェードという球筋が生まれています。
自分に合う球筋をデータで見つける
結局のところ、ドローとフェードのどちらが飛ぶかに一つの正解はありません。
あるゴルファーにはドローが合うかもしれませんし、別のゴルファーにはフェードの方が飛ぶこともあります。
だからこそ、自分の傾向を正しく把握することが大切です。
Trackmanでは、
フェイストゥパス
スピン量
ダイナミックロフト
最高到達点
着地角
キャリー
トータル
といったデータを確認しながら、自分にとって最も効率の良い弾道を見つけることができます。
「ドローの方が飛ぶ」という一般論に頼るのではなく、自分自身のデータを見て判断すること。それが飛距離アップへの近道と言えるでしょう。
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